釣れ然なるままに written by 小泉 貴久

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フナムシの生態

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見たことがないとは言わせない

釣り場のどこにでもいる見守りしもの、それがフナムシ。

 

海のゴキブリとも言われている存在です。

英語でもシーローチと言われ世界共通認識のようです。

 

ゴキとか虫とか言われますがフナムシは動物の分類では節足動物の一群。

甲殻類になります。

また海と陸の境界に生息していることから境界生物とも言われます。

 

ゴキは昆虫です。

 

フナムシは大量に密集して行動しますがGの多くは巣を共有しますが行動自体は単独行動です。

 

 

 

さてフナムシは海に置いて、また釣りに取って非常に重要な存在であり、役割を果たしています。

見た目がちょっとキモいかもしれませんが釣り場にフナムシはいた方がいい存在です。

 

今回は見守りしもの、フナムシについてご紹介いたします。

 

 

 

 

【生態】フナムシと釣りの関係

フナムシは防波堤や磯で多く見られます。

サーフではほぼほぼ見かけることはありません。

 

Gに似ていますが足の数は圧倒的に多く全部で14本の足を持っています。

また羽はありませんので飛んできません。

 

しかしフナムシはジャンプすることはあります。

人が近寄ったり、波が来たり逃げる際によく観察してみるとぴょんと足を広げてモモンガのような姿勢でジャンプします。

飛ぶだけで浮遊はしません。意外とかわいいです。

 

 

ものすごく早いイメージがありますが最高速度は意外と大したことはありません。

また反応速度も決していいものでもありません。

 

可哀想なことに人が歩く際に散り散りに逃げていきますが逃げ切れない奴は結構いて簡単に踏まれてしまいます。

逃げるだろう、と思いきや実は結構踏まれているのです。

 

また波が来ても逃げ切れる奴もいれば逃げ切れない奴もいる。

そのまま耐えられる奴もいれば波にさらわれ2度と帰ってこない奴もいます。

 

全体的に意外と鈍いフナムシです。

 

それでは詳しくご紹介いたします。

 

 

生態

フナムシは陸上生物です。

カニのように海にいたり陸に上がったりはせず、陸でないと生けて行けません。

 

フナムシは肺を持っておらず、血管鰓と呼ばれる器官で呼吸しています。

鰓呼吸です。

後ろ足から海水を吸い上げ、正確には汲み取って呼吸に必要な分の海水がエラまで運ばれていきます。



この海水の取り込み方ですが足の表面を重力に逆らって海水が流れていくことから工学分野でも注目を集めています。

ちなみに生き物の体の構造を模倣したものを生物模倣、バイオミメティクスと言います。

蚊の針を真似た痛くない注射針、ヤモリの足をまねたテープなどがあります。

 

 

水がなければ呼吸ができず、水の中では酸素量が少ないため窒息します。

なのでフナムシは乾燥に弱く、サーフといった砂漠のようなところでは生きていけません。

 

 

また呼吸に使う水分も海水、同じ塩分濃度の塩水でなければなりません。

海水魚というか海水甲殻類になります。

 

しつこいようですが海水は必要でも海に落ちると窒息、溺死します。

しかしフナムシであっても猿も木から落ちる如く、堤防や磯から落下。

または波にさらわれます。

 

そういった際には素早く体を波うたせ、泳ぐことができます。

ただ息継ぎはできませんので長時間は泳げません。

 

 

 

食性は雑食で海藻類や生物の死骸を食べることから海の掃除屋と言われています。

ちなみにフナムシは死んだフナムシを食べることもありますが普通に共食いもします。

 

 

あまりいいことではありませんが釣り人が残した食べれるゴミ

掃除しなかったコマセの残り

釣ってリリースせず捨てた魚

これらも食べてくれます。

 

こういった点から釣り人の味方になってくれる存在ではありますが本来は我々が片付けるべきところです。

 

生きているもので食べれそうなものには手を出してきます。

 

人間も動かないでフナムシの近くにいるとフナムシは寄ってきて噛みついてきます。

アリに噛まれるより痛いです。

あおいそめくらいの威力があります。

 

 

フナムシの天敵はカニ、鳥、魚

 

カニや鳥は積極的にフナムシを狙っているわけではありませんがフナムシが海に落ちた場合は魚は一目散に駆け寄ってきます。

 

多くの魚はフナムシを好んで捕食します。

 

 

このため釣り餌としてはかなり優秀な存在。

体が硬いためハリ持ちもよく、生きている場合はバタバタ泳ぐためアピール力も高い。

 

しかし浮き釣りなどで使用する際はうまく仕掛けが立たない

泳ぎで岸に戻ってくるため制御が難しいこともあります。



基本的には沈むため、泳がせ釣りとは若干異なり、青物やシーバスには向いていません。

また青物やシーバスは好んで食べないとも言われています。

 

根魚、メジナ、黒鯛には好まれる餌です。

 

 

大量にいるフナムシですがご存じのとおり、捕獲はかなり大変です。

捕獲器があれば簡単ですが素手のみだと苦戦することでしょう。

 

一日釣りをするに必要な量を捕獲するとなるとかなり大変なため、無料で大量にいる餌ではありますが多くの釣り人はフナムシだけを頼ることはありません。

 

 

食用として

海にいる甲殻類。

 

大雑把に言えばエビやカニの仲間なので食べれるのでは、と思う方も多いのではないでしょうか。

私はちょっと無理ですが。

 

近年ではダイオウグソクムシを食べることができる場所もありますのでフナムシの食用も期待された時期もありました。

 

 

しかしフナムシは強い苦味

食性から磯臭さと腐敗臭が強烈でまずいというのがゲテ食大全という本で紹介されました。

足に関してはパリッとエビの足っぽい感じがするらしいです。

 

食用として養殖するのであれば臭くならない餌を与えると改善されるのかもしれません。

 

 

 

釣りとフナムシの関係

先ほどご紹介しましたフナムシの生息地

 

磯場や防波堤。

フナムシが多いところと少ないところがあります。

地域差も多少ありますがこれによって釣り場の性質をある程度読み取ることができます。

 

 

例えば潮通しが良さそうな磯だがフナムシが見当たらない。

という場合はフラットな磯場で日陰が1日を通してできなかったり、潮位によっては洗い流される場所だったりします。

 

磯釣りをしたいが大量のフナムシはきつい

という場合に日当たりがよく、フラットな磯場を選ぶとフナムシを回避できるかもしれません。

 

 

フナムシが多い場所というのは湿り気があり、影になる場所が多いことと餌が豊富なことが挙げられます。

 

餌が多いパターンはいくつかあって釣り人が多く餌に困らない場所。

他には陰ることで海藻、苔といったものが生えやすい場所。

 

海流の影響で死んだ魚が流れ着きやすい場所とあります。

 

ゴミが多く打ち上げられているところにフナムシが多くいるような気がするのはこういったものも関係しています。

 

 

大量にフナムシがいるというのは餌が豊富で環境がいいところ。

 

環境が悪く餌が少ない場合は繁殖量が減ったり、フナムシは共食いするため増えることはありません。

 

フナムシが多くいる場所は釣りに適した条件をいくつかクリアしているとも言えます。

そしてフナムシが海に落下しているような場所はそれを好む魚はたまっていることもあります。

 

牡蠣殻やカラス貝のあるところにクロダイが溜まるのと同じような感じです。

 

 

 

今回はフナムシについてご紹介しました。

釣りと関係なさそうで関係あるフナムシ。

 

餌釣りにおいては最終兵器として使うことができます。

餌がなくなってしまった時、食わない時、餌取りにやられてしまう時に使えるかもしれません。

 

 

キモいかもしれませんがかなり海を綺麗にしてくれている存在なので感謝しましょう。