釣りものにもよりますがルアーというカテゴリーの中で圧倒的な釣果を叩き出すワーム。
売られている数、人気から見るとミノーやバイブレーションといったハードルアーよりは少ないものですが釣れるという話はよく耳にします。
また魚の性質上、イソメなどをメインで食べておりワームの方がマッチするという場合もあればそれを関係なく、ミノーを差し置いてワームが釣れるということもあります。
なぜそれほどまでにワームが釣れるのでしょうか。
今回はハードルアーと比較するとワームの方が釣れる気がするのはなぜか、についてご紹介いたします。
なおこの記事の内容はYouTubeでもご覧いただけます。
なぜハードルアーよりワームの方が釣れる気がするのか
ワームの歴史は他のルアーに比べると浅く、近年登場したタイプのルアーです。
ルアーの歴史は国によって様々ですが現在のルアーの基盤となったのは1800年代前半にフリオ・トンプソンビュエルという方が食器のスプーンを湖に落としてしまい、それにトラウトが食いつくのを見てスプーンの原型となるものを作ったとされています。
スプーンが製品化された後にスピナーベイトが誕生しています。
日本においては1700年前後にエギや弓角が使われていたと古文書に書かれています。
そしてワームですがルアーというものの誕生からしばらくして世界にゴム、タイヤが普及することでワームが誕生しました。
諸説ありますが最初はミミズなどの餌を探すのが面倒で動物の皮を使ってワームとしてみたり、タイヤを割いて使っていたとされています。
ゴム製品でワームを作ることの利点は餌持ちがいいということ。
ミミズといった生ものではバイトした時に外れてしまうなど手間がかかることが多かったようです。
そしてゴム製からビニール素材へとなり、さらに柔らかくリアルな動きをするワームとなっていきました。
当時ゴム製品、ビニール製品は独特のあの香りを発していたために人口感が半端ないワームでした。
そこでワームを改良し柔らかく、香りがつくようになってきます。
プラスチックの成形、インジェクション成形ができることによってより複雑な形状を作ることが可能となり、ワームの種類も爆発的に増えることになります。
人類の発明の多くは何かをするのがめんどくさい、ではどうすれば
ということから始まっているものが多く、意外と面倒だと思う気持ちは大切なのかもしれません。
ワームの特性
我々人間を含む生物の多くは体は柔軟にできています。
虫、エビやカニといった関節以外ガチガチな生物も存在しますがほとんどがしなやかな動きができるものです。
ハードルアーでは波動、シルエットで魚を寄せて釣る
波動が出せるとはいえ、硬い物体ですので本物の魚と全く同じというのは無理
人間とよく出来ているロボットくらいの差があるかもしれません。
ワームはハードルアーに比べるとリアルな魚に近い波動を出すことができます。
ハードルアーでは明らかにやかましいサウンドや波動を出すため胃もたれしちゃいそうな活性の低い魚や警戒心の高い魚に対してはスレるといった現象が起こります。
ミミズ、イソメといったものであればさらに本物に近づくことができるでしょう。
ワーム本来の目的はこのようなウニョウニョ系であり、魚に似せているというのは派生系となります。
その鬱陶しくないナチュラルな感じがスレという問題を多少軽減してくれます。
波動がより生物に近づく、という点と匂いをつけることができる
それがワーム最大の特性です。
ハードルアーでは匂いはスプレーで吹きかけることしかできず、それは蓄光と同じレベルでやり続けなければなりません。
ですがワームは表面だけでなく、中までしっかり匂いを染み込ませることができるため使っているうちにそれは低下していきますが圧倒的に長持ちします。
匂い不要という意見も多くあります。
他にはワームには味をつけることができます。
魚にも味覚を感じるための味蕾(みらい)という細胞があることから、甘味、酸味、辛味、苦味の4つの味が分かると考えられています。
ただ、魚の味蕾は人間のように舌だけでなく、口内、ヒゲ、ヒレのほかくちびるにもあるので、ここでエサの味見をすることができます。
ある種の魚には、味として感じる物質の一つのアミノ酸(うま味)の感度がヒトの1万倍以上も高いといわれています。
餌用やワームではアミノ酸配合といった商品が多いのはこのためです。
波動、匂い、味と最強のように見えるワームですが欠点もあります。
ワームの欠点
そもそも食われる側のものの波動は割と微弱なものです。
当然ですが常に波動がギンギラギンだと自ら危険を寄せてしまう自殺行為のようなもの。
それに近いのがワーム、大袈裟に波動を出すのがハードルアーといったところです。
そのためワームにおいては波動はナチュラルでも集魚力がハードルアーほどありません。
ピンポイントで狙う場合、そこに魚がいる場合は目視で確認されるため問題はありませんが広く探るオープンエリアにおいては集魚力が劣るため、苦戦することがあります。
これもハードルアーの方が使われる要因の一つです。
ボトムを叩いたりする釣りではそこに居るとわかって叩くのでワームを使うケースが多くなるでしょう。
しかしただ巻きや変則的なアクションではハードルアーの方に軍配が上がります。
他には飛距離が出にくいという点。
ワーム本体は重さはほぼなく、ジグヘッドやシンカーに頼ることになります。
またワームとオモリのバランスもあるため飛ばしたいからオモリを大きくすることができるとも限りません。
飛距離においては固定重心やシステムが入っているハードルアーの方が飛ぶでしょう。
他に挙げられる欠点としては経済的な問題。
ルアー全般において根がかり、高切れすればロスト。
他にはフックが錆びたり、鈍くなったり、リップが折れた、ルアーが割れたという問題が起こります。
ワームにおいてはヒットしただけでワームが破損するということが多くあります。
ものによってはフグにかじられてテールがなくなったりすることもあります。
安く買うことのできるワームですが一個あたりの寿命はかなり短いものとなります。
総合的にはワームの方がお金がかかるかもしれません。
なぜワームが主流にならないのか
ジャンルにもよりますがルアーの内訳では
ワームが3割、ハードルアーが7割
バス釣り、アジングでは大きく異なります。
より魚に近く、匂いや味もついている
と聞くとメインがワームになるのでは、と思うかもしれません。
ワームが主流とならない点としては飛距離が出ない、コストがかかる
またルアーといえばハードルアーという印象が強いという点も挙げられます。
これだけではなく、環境問題も大きく関係しています。
ワームは一個当たりの価格、釣り方的に根がかりが頻発するものです。
そのため海底や湖の底には多くのワーム
言い換えればゴム、プラスチック、ビニールといった化学物質が多く沈むことになります。
平成19年より山梨県にある河口湖ではプラスチックワームの使用が禁止となりました。
それだけ環境に与える問題が大きいといえます。
この件に関してはプラスチックではなく天然素材から作られたポークワームというものが作られ、これは使用することができます。
ワームだけではありませんがルアーは環境汚染させてしまうという問題への取り組みが課題です。