なぜルアーにはトリプルフックが使われるのか?
人類が魚を獲るために釣り針を進化させるようになって既に半世紀が過ぎていました。ルアーに装着された金属の針は、釣り人の武器となり、釣りにおいて欠かせぬ存在となったのです。
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トリプルフックの起源
19世紀後半、欧米の職人たちは一本の針ではなく、三本の針を束ねたフックを生み出しました。それは「トリプルフック」または「トレブルフック」と呼ばれ、やがて世界中に広がっていきました。
トリプルフックとは?
トリプルフックは、3本のフック(針)が放射状についている釣り針のことです。「トレブルフック」とも呼ばれ、ルアーに取り付けられることが一般的で、バス釣りやトラウト、ソルトウォーターゲームなど幅広く活用されています。
ルアーの種類に応じてサイズや形状が異なり、ターゲットや釣り方に適したものを選ぶ必要があります。
トリプル vs トレブル
「トリプルフック」は和製英語寄りの表現で日本で広く使われ、「トレブルフック」は英語に近い発音で海外では一般的です。国内の釣具店では「トリプルフック」が多く見られます。
なぜルアーにトリプルフックが使われるのか
1. フッキング率の向上
3本の針が均等に配置されていることで、魚がどの方向からアタックしてもフックに掛かりやすくなります。特にショートバイトにも対応できるのが特徴です。
2. バラシを防ぐ
複数のフックが魚の口や体に掛かることで、1点に掛けるよりもバラしにくくなります。特にジャンプやエラ洗いをする魚には有利です。
3. ルアーのバランス維持
ルアーのアクションに大きく関与し、シングルフックに変えると傾きや動きが変わることがあります。特にミノーやクランクベイトでは重要です。
トリプルフックの歴史
19世紀後半〜20世紀初頭(欧米)
アメリカやヨーロッパでは、1870年代に木製ルアーと共にトリプルフックが登場。1936年にはRapalaがフローティングミノーに採用し世界的に普及しました。
20世紀中盤(日本)
1970年代のバス釣りブームとともに、日本でもトリプルフック付きルアーが広まりました。海釣りにも広く応用されています。
現代
鋭さ・耐久性の向上、バーブレスや環境配慮型フックの登場により、さまざまなシーンに合わせて選べるようになりました。
デメリットと今後の動向
1. 魚へのダメージ
複数の針が刺さることで魚へのダメージが大きくなりがちです。キャッチ&リリースではシングルやバーブレスが推奨されることも。
2. 根掛かりしやすい
障害物への引っかかりやすさが増すため、ポイントによってはシングルフックが有利です。
3. フッキングが浅い
複数のフックが干渉して、深く刺さりにくいことがあります。魚種によってはトリプルよりもシングルの方が有利なことも。
まとめ
トリプルフックはフッキング率やバラシ防止に優れる一方で、魚への負担や根掛かりといった課題もあります。
19世紀から続くその進化は、釣り文化と共に発展してきました。今後は環境配慮やリリース文化の影響で、シングルフックへの移行も広まるかもしれません。
釣り人として、どんなフックを使うかはターゲットやスタイル次第。ハンデではなく、戦略として選ぶ時代が来ているのかもしれません。