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釣りの始まりはキャストであり、キャストができないことには魚が釣れない。
しかしそのキャストは釣りにおいて最も難易度が高い、熟練度が求められるものであり、
勢いだけではどうにもならない部分がある。
その要因として明確に、こうでなくてはならないという決まり事が少なく
飛べばとりあえずOKな感じとなりなぁなぁとされてしまうものが多くある。
その中の一つでもあるキャスト時のタラシの長さ。
キャスト方法によって推奨されているタラシの長さは異なる。
だがキャスト全般において一定の法則、タラシがもたらす影響と結果を理解していれば自ずとどんなキャストでも、どんなルアーでも、どんなタックル、そうベイトタックルでも対応できる。
今回はキャストにおける最適なタラシの長さについてご紹介いたします。
キャスト時の最適なタラシの長さ
キャストする際にタラシがなぜ必要なのか。
ではタラシがなくてもキャストはできるのか。
答えはみなさまご存知の通り、タラシはなくてもキャストできます。
またタラシがあるとキャストできないキャスト方法もあります。
なのでタラシというのは絶対に必要でなく、
飛距離や正確性といった点を除くならばタラシはなくていいということもできます。
タラシがあるとキャストできないタックルやキャスト方法はありますが、特例を除き基本となるキャストではタラシがないとできないというものはありません。
ペンデュラムキャストではタラシがなければペンデュラムではないですが投げられないことはありません。オーバーヘッドとも言えます。
ではなぜタラシが必要になるかというと鞭と同じようにタラシを出すことで
ロッド全体の長さにプラスすることができ遠心力や加速力を生み出すことができます。
鞭と同じような原理です。
鞭は持ち手の速さに比べ先端の方が速くなり威力が増します。
そのためロングロッドやペンデュラムキャストのように全てを長くするとその分威力がます、と理論上このようになります。
しかし鞭と同じくいい感じに振ることができなければ先端の威力は出ず、フニャッと暴れるだけの結果となります。
鞭がバチクソ長い場合、テイクバックした時に先端までしっかり動かせなくなるのが想像できるかと思います。
そのまま振っても先端は動くかもしれませんが叩くような威力は出ません。
同じようにキャストでもタラシが長くても全てが適切に働かなければ力は伝わらず
飛びもしませんし狙ったところに飛ばすのも難しくなります。
まずは結論から言いますとロッドを曲げて重さを感じてキャストできるのが最適なタラシの長さです。
どんなにタラシを長くして理論上は威力が出るとしても、ロッドを曲げて初速を出すことができなければ思っているほど飛びません。
またタラシを長くとると言われるペンデュラムキャストですがルアーの重さによってその適切なタラシの長さ、投げやすい長さは異なります。
例えば10ftを超える長いロッドを使うとして
軽いルアーを投げるとします。
この時タラシを長くとったらどうでしょうか。
さらには飛びそうな感じがする追い風ですがその場合どうなるでしょう。
このような状況ではルアーが軽すぎてしっかりテイクバックすることができず、
スイングを開始する時点でルアーは一番後ろにはおらず、ロッドに重さも乗らない状態となります。
そのため軽いルアーをしっかりロッドにのせる、後ろに送るためにはテイクバックを早くしなければなりません。
風やタラシの長さによってはテイクバックを早くするといっても限界があります。
では重いルアーの場合はどうか。
重いルアーでは軽くテイクバックしただけでもそれなりの勢いで後ろへいき、ロッドにもしっかり重さを伝えることができます。
追い風であってもルアーが重ければテイクバックで押し戻されることは少なくなります。
よって重いルアーであればタラシが長くても比較的簡単にロッドに重さをのせることができ投げることができます。
ペンデュラムキャストというのはさまざまな目的のあるキャストですが最近ソルトルアーで使われているのは重いルアーでの遠投目的です。
短いロッド、軽いルアーでは無理ではありませんがそこまで利点がないのかもしれません。
また近年ペンデュラムキャストとオーバーヘッドキャスト、さらに細かく言えばスリークウォーターキャストが混在しています。
なのでどんなキャスト、どんなルアーでもテイクバックしてから振る瞬間に
ロッドにルアーの重さが感じていればそのタラシの長さは適切であり
ロッドに重さが乗っておらず、空振りみたいな感じであればタラシが長すぎる
またはテイクバックの速度が足りない状態であると考えられます。
ロッドに重さが乗っていないのであればタラシを短くする
テイクバックの速度を上げてみるとルアーが乗るようになると思います。
極端な例ですがアンダーハンドキャスト、またバックハンドキャスト、サイドキャスト
これでタラシを長く、リールのところくらいまでとったらどうですか
投げれそうですか。
テイクバックでルアーが浮かず地面や海面にルアーを擦ってしまいそうです。
そうしないためにはどうするか、というとタラシを短くするか、テイクバックの速度を上げるかということになります。
またこういったキャストを多用する釣りのロッドでは少ない力でロッドが曲がるように柔らかかったり、胴調子でしっかり根本から曲がる、または穂先だけでも飛ばせるようにできているものが多くあります。
オーバーヘッドやペンデュラムの場合は地面に擦ることがないですので
この点において気にせず投げてしまうことが多いでしょう。
擦らないだけであって理論上は同じことです。
タラシの長さ、スイングが完璧でも起こる問題
タラシが短い場合、ビビらないのであればスイングの速度が上がりやすくなります。
またロッドが短くなれば振りやすくなるのでこちらもスイングの速度が上がります。
ということは強烈に瞬発的に負荷がかかりやすくなるのでロッドが折れたり
高切れを起こす場合があります。
ロッドが折れるというのは急なスイングをしたら折れそうだなと想像できるかもしれませんがタカ切れに関してはいくつかの要因があります。
スイングが早かったり、ルアーが重いルアーを投げる場合
今し方紹介したロッドに重さを乗せて投げるという正解なキャストをすると
高切れリスクが高まるという救えないような状態が起こることがあります。
というのもテイクバックからキャストを開始した瞬間からその後
ロッドがガッツリ曲がります。
そしてロッドが反発しつつリリースします。
この曲がってからリリースの間にグッという重さが指にもかかりますがスプールにもかかる場合があります。
これがスプールにラインが食い込み、すぐに放出される時に引っかかってプツンといきます。
ラインの太さにもよりますが当然細いラインで重いルアーを使い場合にこのリスクが高まります。
これはベイトタックルでもバックラッシュはしてないが切れるというこれが起こりますがスピニングでも起こります。
キャスト時に負荷がかかりすぎているのであればもう少しゆったりと投げる
ラインが切れるなら、その重さのルアーを使うなら太くする。
ラインが食い込みやすいならコーティングをしたり新しいラインに変える。
といった方法で解決することができるかもしれません。
ロッドにしっかりルアーを乗せたいいキャストをするとこういった別の問題が起こるという
物事はそうそう頭の中で引いた図面通りにはいかぬものさ。
今回は最適なタラシの長さについてご紹介いたしました。
ロッドの長さ、そのロッドの性質、ルアーによってタラシの最適な長さは異なります。
ルアーや風によってタラシの長さを調整して投げる方もいれば
常に一定のタラシ、例えばリールのちょい上と決めてスイング速度で調整する人もいます。
後方確認はいつも重要になりますが振り下ろすスイングの速さや力みより
テイクバックで全てが決まっているといっても過言ではありません。
軽いルアーではテイクバックが早くなる、またはタラシが短くなる
重いルアーではゆったり大きくていくバック、タラシは長くてもロッドに重さが乗りやすい
こういった点を意識してあれこれ試してみてください。
またルアーの質、システムや重さや形状によってもかなり異なるので全てを完璧に投げれるようになった時にはキャストマスターになっていると思います。