この記事の内容はYouTubeでもご覧いただけます
釣りリールに“可変ギア”がないのはなぜか?
リールのギア、皆様は何をお使いでしょうか?
- パワーギア
- ハイギア
- エクストラハイギア
様々な選択肢がある中で、ふと思いませんか?
「釣りリールに“可変ギア”がないのはなぜか?」
「もし搭載されたら、釣りはどう変わるのか?」
目次
可変ギアとは何か?
可変ギアとは、状況に応じてギア比を切り替え「力」と「速さ」のバランスを調整できる機構です。車で例えると、坂道ではローギア、高速ではハイギア。釣りで言えば、
- 大物とのファイト:ローギアでパワー重視
- ジギングや回収時:ハイギアでスピード重視
こうしたニーズは確かに存在します。
釣りリールに可変ギアが存在しない理由
① 構造の複雑化と耐久性
可変ギアを組み込むことで構造が複雑になり、過酷な環境(海水・砂・湿気)に耐える精度を保つのが困難になります。現在のリールは極限まで巻き心地を高めており、それを損なう可能性も。
② 軽量性とのトレードオフ
リールは軽量が命。釣り中の疲労軽減には欠かせない要素です。可変ギアの追加は重量増に直結し、カーボン素材で軽量化を追求する現在の流れとは相反します。
③ 操作性と信頼性
ギア切替には操作が必要で、ファイト中の誤作動や遅れがトラブルの元に。また、劣化により不意にギアが切り替わると魚を逃す恐れもあります。
もし可変ギアがあったら?
・ローギアでの力強いファイト
・ハイギアでテンポよく広範囲を攻める
・場所やターゲットに応じて自在にギア変更
そんな戦術の幅が大きく広がる世界が実現します。一部電動リールでは可変巻き速度が採用されていますが、スピニングやベイトではまだ未対応です。
ハンドル長さによる“ギア感”の調整
可変ギアがない現状では、ハンドル長の変更が「巻き感」の調整手段として使われています。
- 長いハンドル:力が入りやすくローギア風
- 短いハンドル:素早く巻けてハイギア風
ギア比自体は変わりませんが、感覚としては大きな変化を生みます。
かつて存在した“可変ギアリール”
1980年代、シマノの「バンタム ブラックマグナム」には2スピードギアが搭載されていました。ハンドルを押し込むことで3.8と5.2のギア比を切替可能。
しかし、複雑さや重量、耐久性の問題により市場からは消えていきました。海外メーカーの一部にも例がありましたが、同様に消滅しています。
リールの未来と夢
現状では、軽さ・信頼性・操作性の壁に阻まれています。しかし、釣り道具の技術は進化し続けています。
- マグシールド
- 電子ブレーキ
- カーボンモノコックボディ
「可変ギアリール」も未来では当たり前の存在になるかもしれません。
釣りの世界は、“遊び”だからこそ進化する。可変ギアはまだ夢物語かもしれませんが、現行のリールも工夫次第でその夢に近づくことができます。道具を知り、工夫して使う——それが釣り人の知恵なのです。