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皆様もご存知の通り、近年釣り場の閉鎖が増えています。一本の釣り糸。ひとつのルアー。忘れ去られた餌の包装紙。それらが積み重なり、気づけば釣り場は環境問題の最前線になっています。
今回は、全国で始まっている取り組みと、私たち釣り人にできる具体的な行動についてお話しします。
目次
釣りにおけるゴミ問題の現状
釣り場でよく見られるゴミには、切れた釣り糸、失われたルアー、餌のパッケージ、ペットボトル、コンビニの袋などがあります。
例えば静岡県沼津市の大瀬崎では、2020年に海中の釣り糸やルアーがダイビングの安全を脅かすとして釣りが全面禁止になりました。
愛媛県の佐田岬半島周辺でも、マナーの悪さから複数の港で釣りが禁止されています。
これらは、釣り人の行動が釣り場の未来を左右しているという現実を突きつけています。
釣り人による清掃活動
「自分たちの遊び場は自分たちで守る」意識の広まりにより、全国で清掃活動が増えています。
- 日本釣振興会による清掃キャンペーン
- 「#釣り場クリーンアップ」ハッシュタグでのSNS活動
- NPO法人「海さくら」の継続的な清掃活動
神奈川県鎌倉市では地域の釣り人が月に一度、由比ヶ浜や材木座海岸で清掃を実施。北海道函館市では港湾エリアを中心に自主的なゴミ拾いも行われています。
釣りアイドル「りあくしょんバイト」は江ノ島周辺で清掃活動を行い、環境意識の普及に貢献しています。
企業の取り組み
- ダイワ(グローブライド):生分解性素材や環境配慮製品の開発
- シマノ:「シマノグリーンプラン」に基づく環境管理
- ジャクソン:「1%のソーシャルグッド」稚魚放流・清掃時間の確保
バリバス、エイテックなども協力し、大規模なクリーンアップ活動を展開しています。
新しい技術とアイデア
鳥取県ではドローンによる海洋ごみ回収の実験が行われ、15kgのゴミを約200m空輸することに成功しました。
香川県では「RE:BOOT」が釣竿のアップサイクルを実施。2024年時点で約400kgを再資源化。
長崎県では回収ごみでアクセサリー作り体験など、教育と創造を組み合わせたイベントも開催。
行政と制度による支援
神奈川県では厳格な罰則を設けた条例が存在し、不法投棄者には最大で5年の懲役や1,000万円の罰金が科される可能性があります(法人は最大3億円)。
一方で漁業ゴミの野焼きに関しては黙認される例もあり、今後の課題です。
デンマークでは釣り免許制が導入され、免許料が生態保護に充てられています。
私たちにできること
「プラス1(ワン)活動」:自分のゴミを持ち帰る+目についたゴミを1つ拾う。
100人いれば100個のゴミが消える。積み重ねが大きな力に。
釣り場の「雰囲気」もゴミの量に影響するという「割れ窓理論」も重要です。
注意する場面では、感情的にならず「この釣り場、釣り禁止になるかもって話も…」といった共感型アプローチが効果的です。
反発を避けるには、自分が拾って行動で示すことも大切です。
小さな一歩が、未来の釣りを救うかもしれません。皆さん一人ひとりの意識と行動が、釣り文化を持続可能なものに変えていく鍵となるのです。